技能ビザは、外国人が日本で特定の熟練した技能を活かして働くための在留資格です。特に外国料理の専門調理師として日本で働きたい方にとっては、このビザが重要なものとなります。この記事では、技能ビザについての基本情報や取得要件、そして具体的な審査のポイントを解説します。
技能ビザとは？
技能ビザは、各国の伝統的な技術や特殊なスキルを持つ外国人が対象であり、日本国内でその技能を活かして働くための在留資格です。このビザを取得できる代表的な職種は次のとおりです：
- 各国料理の専門コック（中華料理、タイ料理、ベトナム料理など）
- 外国特有の建築土木技術者
- 貴金属・毛皮の技師
- パイロット
- スポーツトレーナー
これらの職種に従事する外国人が、日本でその専門性を活かすためには「技能ビザ」が必要になります。
技能ビザのポイント
技能ビザの審査においては、外国人本人の実務経験や業務内容、そして受け入れ企業側の安定性が重要なポイントです。特に調理師として技能ビザを取得する場合、以下の３つの基準が満たされているかどうかが重要になります。
① 10年以上の実務経験
技能ビザを申請するためには、外国人本人が10年以上の実務経験を持っていることが必要です。これは、ただ経験を積むだけでなく、在職証明書などで証明できる形でなければなりません。なお、タイ料理に限っては5年以上の実務経験で申請が可能です。
注意：
虚偽の経歴を申告すると、入国管理局による審査で不許可となる場合があります。実際には、外国の店舗に電話での調査が行われ、店舗の存在や申請者の経歴が確認されます。このため、申請前に必要書類を正確に準備することが重要です。
② 外国料理専門店であること
技能ビザを取得するためには、勤務先が外国料理の専門店であることが必要です。具体的には、中華料理、タイ料理、インドネパール料理、韓国料理といった各国料理の専門店が対象です。ただし、日本料理店や日本式の居酒屋では取得ができません。
ポイント：
- メニューの多様性が重要視され、コースメニューや単品料理があることが望ましいです。
- 電子レンジで加熱するだけのメニューや、ラーメン店などの業態では審査が厳しくなる場合が多いため、事前に確認が必要です。
③ 一定規模の店舗であること
小規模すぎる店舗の場合、技能ビザの審査が厳しくなる傾向があります。店舗の座席数（椅子数）が20～30席以上であれば、基準をクリアしやすくなります。
注意：
座席数が基準を満たさない場合、ビザの審査で不許可になることがあるため、店舗の規模が審査基準に合致しているか確認しておくと良いでしょう。
技能ビザ取得のための書類と手続き
技能ビザを申請する際には、外国人本人の実務経験を証明する書類、および受け入れ企業側が安定した経営基盤を有していることを証明する書類が必要です。具体的には以下の書類が求められます：
- 在職証明書：申請者が10年以上の実務経験を有していることを証明するためのものです。タイ料理人の場合は5年以上で申請可能です。
- 調理や食品製造に関する学歴証明：外国の教育機関で調理や食品製造を専攻していた期間も実務経験として認められるため、学歴証明書がある場合は提出すると良いでしょう。
- 勤務先店舗の概要資料：外国料理専門店であることを示す資料（メニュー内容、店舗写真など）や、座席数を証明する資料が求められます。
会社側の要件：
受け入れ企業側も経営の安定性と継続性が求められ、十分な経営基盤があることを立証するために、財務資料などを提出する必要があります。特に、調理師を多く受け入れている場合、過去のビザ申請実績や適切な雇用環境が整備されていることも審査に影響します。
技能ビザ取得の注意点
技能ビザ取得にあたっては、不法滞在や不法就労を防ぐため、入国管理局での審査が厳しく行われます。特に外国人調理師のビザ申請においては、不法就労のリスクが高いとされ、審査期間が他のビザに比べて長くかかる場合もあります。
審査をスムーズに進めるためのポイント：
- 申請内容の整合性：虚偽申請を防ぐため、すべての情報が正確かつ整合性が取れていることが重要です。
- 現地確認対応：入管からの調査が行われることもあるため、現地の連絡先や申請に使用した情報が正確であることを確認しましょう。
まとめ
技能ビザは、外国料理の専門調理師をはじめ、特殊な技能を有する外国人が日本で働くために必要な在留資格です。特に外国料理店の調理師にとっては、10年以上の実務経験や勤務先の業態など、満たさなければならない要件が多岐にわたります。
ビザの取得には詳細な書類の準備と入念な確認が必要です。申請をスムーズに進めるためにも、書類の整備や不備のない情報提供を心がけると良いでしょう。不明点がある場合や書類準備に自信がない場合は、専門家に相談しながら進めることをお勧めします。
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