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建設業許可:自社に必要な許可区分の選び方

建設業許可の取得を検討されている方にとって、最初の関門となるのが許可区分の選択です。「国土交通大臣許可か都道府県知事許可か」「特定建設業か一般建設業か」といった判断に迷われる方も多いのではないでしょうか。

今回は、建設業法上の許可類型について、できるだけ分かりやすく解説していきます。

目次

1. 建設業許可の基本的な区分け

建設業許可は、大きく2つの観点から区分されています:

  1. 営業所の所在地による区分
  • 国土交通大臣許可
  • 都道府県知事許可
  1. 下請工事金額による区分
  • 特定建設業
  • 一般建設業

この2つの区分の組み合わせによって、自社に必要な許可の種類が決まってきます。

2. 営業所の所在地による区分

2.1 国土交通大臣許可

2つ以上の都道府県に営業所を持って営業する場合に必要となります。

2.2 都道府県知事許可

1つの都道府県内にのみ営業所を持って営業する場合に必要となります。

2.3 「営業所」の定義

ここでいう「営業所」とは、以下の条件を満たす事務所を指します:

  • 常時建設工事の見積もりを行う
  • 入札に参加する
  • 請負契約を締結する

以下のものは「営業所」には該当しません:

  • 現場事務所
  • 単なる連絡所
  • 資材置き場
  • 建設工事以外の事業のみを行う事務所(物販店舗など)

3. 下請工事金額による区分

3.1 特定建設業

元請業者として下請発注を行う際、以下の金額以上の工事を発注する場合に必要です:

  • 一般工事:4,000万円以上
  • 建築一式工事:6,000万円以上

注意点:

  • 複数の下請業者への発注合計額で判断します
  • 自社が元請業者の場合のみが対象となります
  • 1次下請以下の立場での発注は対象外です

3.2 一般建設業

以下のような場合は一般建設業の区分となります:

  • 下請発注金額が上記の金額未満の場合
  • 下請工事を出さない場合(自社施工のみの場合)
  • 元請業者でない場合(下請としての立場の場合)

4. 許可区分の具体例

実際の事例に基づいて、許可区分を見ていきましょう:

【ケース1】
・東京と大阪に営業所がある
・元請として1億円の下請工事を発注
→ 国土交通大臣許可の特定建設業が必要

【ケース2】
・愛知県内にのみ営業所がある
・自社施工が中心で下請発注は300万円程度
→ 都道府県知事許可の一般建設業でOK

【ケース3】
・福岡と熊本に営業所がある
・1次下請として5,000万円の再下請工事を発注
→ 国土交通大臣許可の一般建設業が必要

5. 許可取得における注意点

以下の点に特に注意が必要です:

  1. 同一業種での重複許可不可
  • 一般建設業と特定建設業の両方を取得することはできません
  1. 許可権者の統一
  • 一部の業種だけを大臣許可、他を知事許可とすることはできません
  1. 事業計画との整合性
  • 将来の事業展開も考慮して許可区分を選択する必要があります

まとめ

建設業許可の区分は、以下の4つに分類されます:

  1. 大臣許可の特定建設業
  2. 大臣許可の一般建設業
  3. 知事許可の特定建設業
  4. 知事許可の一般建設業

自社に適した許可区分を選択する際は、以下の点を確認しましょう:

  • 営業所の所在地と今後の出店計画
  • 元請工事の受注予定
  • 下請発注の規模
  • 事業の将来展望

建設業許可の区分選択は、事業展開に大きな影響を与える重要な判断となります。不明な点がある場合は、行政書士などの専門家に相談することをお勧めします。

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